― 市販睡眠薬の仕組みと、長期使用に向かない理由を薬剤師が解説します。 ―
市販の睡眠薬としてよく知られているドリエル。
「病院に行くほどではないけれど、今夜だけ眠りたい」
そんなときに手に取る人も多い薬です。
一方で、
- 毎日飲んで大丈夫?
- 長く使うとよくないって本当?
- 市販薬だから安全なのでは?
と疑問や不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、
ドリエルがどんな薬なのか、
なぜ長期連用に向かないと言われるのかを、
専門用語をかみ砕きながら解説します。
ドリエルは「睡眠を治療する薬」ではありません
まず、とても大切な前提からお話しします。
ドリエルの正体
ドリエルの有効成分は、
もともとアレルギー症状を抑えるために使われてきた成分です。
つまりドリエルは、
- 睡眠そのものを整える薬 ❌
- 眠くなる副作用を利用した薬 ⭕
という位置づけになります。
この成分は
(ジフェンヒドラミン塩酸塩)
と呼ばれ、
脳に移行しやすい古いタイプの抗アレルギー薬
(第一世代抗ヒスタミン薬)に分類されます。
なぜドリエルを飲むと眠くなるの?
私たちの脳には、
「起きていよう」とする働きがあります。
ドリエルの成分は、
この働きを弱めてしまうため、
脳の活動にブレーキがかかる
→ 眠気が出る
という状態になります。
これは、
- 体内時計を整える ❌
- 脳を鎮静させて眠くする ⭕
という仕組みです。
なぜ「毎日使うのはおすすめされない」の?
ここが一番大事なポイントです。
理由①:だんだん効きにくくなる
ドリエルは、
使い続けると眠気に慣れてしまうことがあります。
- 最初はよく眠れた
- 数日〜数週間で効きが弱くなる
- 量を増やしたくなる
こうした
**「効きにくくなる状態」**を
(耐性)と呼びます。
毎日の睡眠対策としては、
あまり向いていません。
理由②:体の“出す・動かす”働きを弱める作用
ドリエルの成分には、
体の分泌を抑える性質があります。
そのため、
- 口が渇く
- 便秘しやすくなる
- 尿が出にくくなる
- 目がかすむ
といった症状が起こることがあります。
これらをまとめて
(抗コリン作用)
と呼びます。
短期間なら問題にならなくても、
長く使うことで体への負担が積み重なる
可能性があります。
理由③:頭がぼんやりしやすくなる
特に注意が必要なのが、
脳への影響です。
使い続けることで、
- ぼーっとする
- 物忘れが増える
- 集中しづらくなる
と感じる人もいます。
特に高齢の方では、
こうした状態が強く出やすく、
転倒や混乱の原因になることがあります。
睡眠の「質」は良くなるの?
正直に言うと、
👉 眠る時間は増えても、スッキリ感は改善しにくい
ことがあります。
理由は、
- 自然な睡眠リズムが整うわけではない
- 脳を鎮静させているだけ
だからです。
その結果、
- 朝まで眠気が残る
- 頭が重い
- 熟睡した感じがしない
と感じる人もいます。
❗ 使ってはいけない人・注意が必要な人
ドリエルは市販薬ですが、
誰でも安全に使える薬ではありません。
使ってはいけない人(自己判断での使用は禁忌)
- 前立腺肥大症などで尿が出にくい方
→ 尿がさらに出にくくなり、尿閉の危険があります - 閉塞隅角緑内障と診断されたことがある方
→ 眼圧が急に上がる可能性があります
注意が必要な人
- 高齢の方
- 便秘が強い方
- すでに眠くなる薬を使っている方
該当する場合は、
必ず医師や薬剤師に相談してください。
🤰 妊娠中・授乳中の方へ
ドリエルは市販薬ですが、
妊娠中・授乳中の使用には注意が必要です。
妊娠中の場合
妊婦さんでの使用については、
十分な安全性データがありません。
そのため、
自己判断での使用はおすすめされていません。
授乳中の場合
ドリエルの成分は、
母乳中に移行する可能性があります。
その結果、
- 赤ちゃんが眠くなりすぎる
- 哺乳が弱くなる
といった影響が出る可能性があるため、
授乳中の自己判断での使用は避けてください。
ドリエルは「危険な薬」なの?
ここは誤解されやすいところです。
✔ 短期間・一時的なら
- 環境の変化で眠れない
- どうしても眠りたい夜がある
👉 大きな問題になることは少ない
❌ 毎日・長期間・自己判断
👉 おすすめされません
つまりドリエルは、
「眠れない夜を一時的にしのぐための薬」
という位置づけです。
他にも選択肢はあります
眠れない原因によっては、
- 生活リズムの見直し
- 漢方薬
- 無理に脳を鎮静させない医療用の睡眠薬
が合う人もいます。
薬剤師からのまとめ
ドリエルは
一時的に眠気を助けるための薬です。毎日使い続ける薬ではありません。
眠れない状態が続くときは、
原因に合った方法を選ぶことが大切です。
参考文献
※本記事は医薬品に関する一般情報です。服用にあたっては医師・薬剤師にご相談ください。

