【薬局向け】調剤物価対応料とは?届出は不要・算定要件を解説

公開:2026年9月3日 最終更新:2026年9月3日 情報の基準日:2026年9月2日
薬剤師が執筆

調剤物価対応料は、令和8年6月に新設された調剤報酬の点数です。1点、3か月に1回。届出も申請も必要ありません。この記事では、算定要件と、告示・通知に書かれていないことの見分け方にしぼって解説します。

ひなちゃん
ひなちゃんまた新しい点数が増えたって聞いて……。ベースアップ評価料のときみたいに、届出の準備、要りますか?
ふく朗先生
ふく朗先生分かるよ。引っかかるのはたぶん、「届出がいるのか」と「3か月に1回をどう数えるのか」の2つじゃないかな。
ひなちゃん
ひなちゃんまさにそれです。3か月に1回っていうのは、レセコンが勝手に見てくれるって聞いたんですけど、本当ですか?
ふく朗先生
ふく朗先生うん、そこがいちばん引っかかるところなんだ。実は「3か月」をどこから数えるのかは、告示にも通知にも書かれていない。だから僕も気になって全部あたってみたよ。順に見ていけば大丈夫。

30秒でわかる3行まとめ

1

1点。処方箋を受け付けた場合に3か月に1回

令和9年6月からは、所定点数の100分の200=2点になります。

2

届出も申請も必要ありません

告示にも通知にも、施設基準の定めが置かれていません。

3

「3か月に1回」の数え方は示されていない

疑義解釈も1件も出ていません(令和8年9月2日時点)。

調剤物価対応料は、令和8年度の診療報酬改定で新設された点数です。調剤報酬点数表の第5節「その他」に、区分番号41として置かれています。点数は1点です。

なぜ新設されたのか

厚生労働省の説明資料には、令和8年度および令和9年度の物価上昇に段階的に対応するため、調剤基本料等の算定に併せて算定できる加算として新設する、と書かれています。

賃上げ・物価への対応は3つに分かれています

この改定では、性格の似た見直しが同時に3つ走りました。名前が似ていて混同しやすいので、先に整理します。

1

賃上げ分

調剤ベースアップ評価料(区分40)で対応。

2

令和8年度以降の物価上昇への対応分

調剤物価対応料(区分41)を新設。この記事で扱うものです。

3

令和6年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分

調剤基本料に包括されました。単独の点数はありません。

いつから算定できるか

令和8年6月1日からです。告示第69号の制定文で、同日から適用すると定められています。

ふく朗先生
ふく朗先生3つ同時に走ったから紛らわしいけど、物価対応料は薬局が申請して取りにいく点数ではないよ。次の章でその理由を見ていこう。
「気になるところから読む」にもどる
2

届出・申請は不要。薬局がやることは何もありません

告示 区分41の注/留意事項通知 別添3

先に結論です。調剤物価対応料には、施設基準の届出も、申請も、様式の提出も必要ありません。

「不要と書いてある」のではなく「必要と書かれていない」

根拠の形が少し変わっているので、そこだけ押さえてください。区分41には、届出を求める記述がどこにもありません。

確認した資料施設基準・届出の定め
告示第69号 区分41の注ありません
留意事項通知 別添3 区分41ありません
改定の概要【調剤】施設基準の欄そのものがありません

調剤ベースアップ評価料と見比べると分かります

同じ第5節にある調剤ベースアップ評価料(区分40)の注には、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において算定する、という条件が付いています。区分41の注には、それがありません。

調剤ベースアップ評価料を届け出ている薬局へ

調剤ベースアップ評価料の届出をしていても、調剤物価対応料のために追加で出す書類はありません。届出の要否は、点数ごとに別々に決まっています。

ふく朗先生
ふく朗先生届出も申請も、様式の提出も要らないよ。ベースアップ評価料の記憶があると身構えるけど、こっちは別物。
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3

算定要件は「処方箋を受け付けた場合に3か月に1回」

留意事項通知 別添3 区分41(66ページ)

留意事項通知に書かれているのは、次の1文だけです。

留意事項通知 別添3 区分41の全文

保険薬局において処方箋を受け付けた場合に、3月に1回に限り、所定点数を算定する。

算定の起点は「処方箋の受付」です。原文の「3月に1回」は3か月に1回という意味で、毎年3月に1回ということではありません。

令和9年6月から2点になります

告示の注には、令和9年6月以降は所定点数の100分の200に相当する点数を算定する、というただし書きがあります。1点の2倍で2点です。

時期算定できる点数
令和8年6月〜令和9年5月1点(3か月に1回)
令和9年6月以降2点=所定点数の100分の200(3か月に1回)

「処方箋を受け付けた場合」とは

通知は「保険薬局において処方箋を受け付けた場合」としています。調剤基本料と同じく、処方箋の受付が起点です。

ただし、受付回数をどう数えるかまで区分41に書かれているわけではありません。ここは次の章で扱います。

ふく朗先生
ふく朗先生覚えることは2つだけ。起点は処方箋の受付、令和9年6月から2点。ここまでは告示と通知にはっきり書いてあるよ。
「気になるところから読む」にもどる
4

「3か月に1回」の数え方は、公式には示されていません

令和8年9月2日時点で確認

ここからは、告示にも通知にも書かれていないことの話です。

疑義解釈は1件も出ていません

令和8年度改定の疑義解釈は、その1(令和8年3月23日)からその11(令和8年7月30日)まで出ています。この11本すべてを確認しましたが、調剤物価対応料に関する設問は1件もありませんでした。

ふく朗先生
ふく朗先生ここ大事疑義解釈のPDFを「物価対応料」で検索すると2件ヒットするけど、どちらも医科・歯科向けの設問だよ(その8の問2と、その9の問10)。入院物価対応料やDPCの話で、薬局の根拠には使えない。同じ名前の点数が医科側にもあるから、ここは引っかかりやすいところ。

通知に書かれていない5つのこと

現場で迷いそうな点を並べます。右の列がすべて同じになるのが、この章の要点です。

現場で迷うところ告示・通知の記載
「3か月に1回」をどこから数えるのかありません
患者ごとに数えるのかありません
同じ日に複数の医療機関の処方箋を受け付けたときありません
特別調剤基本料A・Bを算定している薬局の扱いありません
分割調剤・リフィル処方箋の2回目以降ありません

通則を見ても答えは出ません

留意事項通知の通則には、算定回数が「週」単位・「月」単位とされているものの数え方が定められています。日曜日から土曜日までの1週間、月の初日から末日までの1か月です。

ただし、ここにあるのは「週」と「月」の定義だけです。3か月をどこから数えるかまでは書かれていません。

確認するなら

  • まず自局のレセコンがどう処理しているかを確認してください。そのうえで判断に迷う場面があれば、管轄の地方厚生(支)局に照会するのが確実です。
  • 疑義解釈は後から追加で発出されます。この記事は令和8年9月2日時点の確認結果です。
ふく朗先生
ふく朗先生探しても見つからないのは、調べ方の問題ではなく、そもそも示されていないからだよ。ここは僕も、見落としがあるのかと思って何度も探し直したよ。無いと分かれば、次にどこへ聞けばいいかがはっきりする。
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5

調剤ベースアップ評価料との違い

区分40と区分41

どちらも同じ第5節に並んで新設されたため、混同されやすい2つです。違うところだけ挙げます。

項目調剤物価対応料調剤ベースアップ評価料
区分番号区分41区分40
点数1点4点
届出不要必要
施設基準定めなしあり

調剤ベースアップ評価料は、施設基準の届出が必要な点数です。対象職員や報告の話は、そちらの記事で扱っています。

ふく朗先生
ふく朗先生並べて見ると分かりやすいね。ベースアップ評価料は届出がいる、物価対応料はいらない。この1点だけ押さえておけば取り違えないよ。
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6

よくある勘違い5つ

各章の復習を兼ねています

よくある勘違い 1

算定するには届出が必要

実際は届出も申請も不要です。告示にも通知にも施設基準の定めがありません(→ 第2章

よくある勘違い 2

「3月に1回」は、毎年3月に1回のこと

実際は3か月に1回という意味です(→ 第3章

よくある勘違い 3

処方箋を受け付けるたびに算定できる

実際は受付が起点ですが、算定できるのは3か月に1回だけです(→ 第3章

よくある勘違い 4

ずっと1点のまま

実際は令和9年6月から、所定点数の100分の200=2点になります(→ 第3章

よくある勘違い 5

疑義解釈を探せば、数え方が書いてあるはず

実際は令和8年9月2日時点で、調剤物価対応料の疑義解釈は1件も出ていません(→ 第4章

ふく朗先生
ふく朗先生いちばん多いのは5つ目かな。「見つからない」と「無い」は違う。ここは僕も最初は引っかかったよ。無いと分かってはじめて、次にどこへ聞けばいいかが決まる。
「気になるところから読む」にもどる

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ふく朗先生
執筆・監修
ふく朗先生(薬剤師)
熊本県の保険薬局で管理薬剤師として勤務。派遣薬剤師として複数の薬局を経験したのち現職。告示・通知・疑義解釈にあたって執筆・確認しています。
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免責事項

  • 本記事は情報提供を目的としたもので、個別の算定の可否を保証するものではありません。実際の運用にあたっては、必ず管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
  • 本記事の内容は令和8年9月2日時点の告示・通知・疑義解釈に基づいています。制度は改正・訂正されることがあります。

参考・出典(すべて別タブで開きます)

診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)、その留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添3、令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】、および疑義解釈資料その1〜その11にもとづいて執筆しました。原文は下記のページからすべて確認できます。

本記事に引用した告示・通知・事務連絡の原文は、厚生労働省ホームページ(令和8年9月2日に利用)によります。

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