調剤物価対応料は、令和8年6月に新設された調剤報酬の点数です。1点、3か月に1回。届出も申請も必要ありません。この記事では、算定要件と、告示・通知に書かれていないことの見分け方にしぼって解説します。




30秒でわかる3行まとめ
1点。処方箋を受け付けた場合に3か月に1回
令和9年6月からは、所定点数の100分の200=2点になります。
届出も申請も必要ありません
告示にも通知にも、施設基準の定めが置かれていません。
「3か月に1回」の数え方は示されていない
疑義解釈も1件も出ていません(令和8年9月2日時点)。
調剤物価対応料とは?令和8年6月に新設された1点の加算
告示第69号 別表第三 第5節 区分41
調剤物価対応料は、令和8年度の診療報酬改定で新設された点数です。調剤報酬点数表の第5節「その他」に、区分番号41として置かれています。点数は1点です。
なぜ新設されたのか
厚生労働省の説明資料には、令和8年度および令和9年度の物価上昇に段階的に対応するため、調剤基本料等の算定に併せて算定できる加算として新設する、と書かれています。
賃上げ・物価への対応は3つに分かれています
この改定では、性格の似た見直しが同時に3つ走りました。名前が似ていて混同しやすいので、先に整理します。
賃上げ分
調剤ベースアップ評価料(区分40)で対応。
令和8年度以降の物価上昇への対応分
調剤物価対応料(区分41)を新設。この記事で扱うものです。
令和6年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分
調剤基本料に包括されました。単独の点数はありません。
いつから算定できるか
令和8年6月1日からです。告示第69号の制定文で、同日から適用すると定められています。

届出・申請は不要。薬局がやることは何もありません
告示 区分41の注/留意事項通知 別添3
先に結論です。調剤物価対応料には、施設基準の届出も、申請も、様式の提出も必要ありません。
「不要と書いてある」のではなく「必要と書かれていない」
根拠の形が少し変わっているので、そこだけ押さえてください。区分41には、届出を求める記述がどこにもありません。
| 確認した資料 | 施設基準・届出の定め |
|---|---|
| 告示第69号 区分41の注 | ありません |
| 留意事項通知 別添3 区分41 | ありません |
| 改定の概要【調剤】 | 施設基準の欄そのものがありません |
調剤ベースアップ評価料と見比べると分かります
同じ第5節にある調剤ベースアップ評価料(区分40)の注には、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において算定する、という条件が付いています。区分41の注には、それがありません。
調剤ベースアップ評価料を届け出ている薬局へ
調剤ベースアップ評価料の届出をしていても、調剤物価対応料のために追加で出す書類はありません。届出の要否は、点数ごとに別々に決まっています。

算定要件は「処方箋を受け付けた場合に3か月に1回」
留意事項通知 別添3 区分41(66ページ)
留意事項通知に書かれているのは、次の1文だけです。
留意事項通知 別添3 区分41の全文
保険薬局において処方箋を受け付けた場合に、3月に1回に限り、所定点数を算定する。
算定の起点は「処方箋の受付」です。原文の「3月に1回」は3か月に1回という意味で、毎年3月に1回ということではありません。
令和9年6月から2点になります
告示の注には、令和9年6月以降は所定点数の100分の200に相当する点数を算定する、というただし書きがあります。1点の2倍で2点です。
| 時期 | 算定できる点数 |
|---|---|
| 令和8年6月〜令和9年5月 | 1点(3か月に1回) |
| 令和9年6月以降 | 2点=所定点数の100分の200(3か月に1回) |
「処方箋を受け付けた場合」とは
通知は「保険薬局において処方箋を受け付けた場合」としています。調剤基本料と同じく、処方箋の受付が起点です。
ただし、受付回数をどう数えるかまで区分41に書かれているわけではありません。ここは次の章で扱います。

「3か月に1回」の数え方は、公式には示されていません
令和8年9月2日時点で確認
ここからは、告示にも通知にも書かれていないことの話です。
疑義解釈は1件も出ていません
令和8年度改定の疑義解釈は、その1(令和8年3月23日)からその11(令和8年7月30日)まで出ています。この11本すべてを確認しましたが、調剤物価対応料に関する設問は1件もありませんでした。

通知に書かれていない5つのこと
現場で迷いそうな点を並べます。右の列がすべて同じになるのが、この章の要点です。
| 現場で迷うところ | 告示・通知の記載 |
|---|---|
| 「3か月に1回」をどこから数えるのか | ありません |
| 患者ごとに数えるのか | ありません |
| 同じ日に複数の医療機関の処方箋を受け付けたとき | ありません |
| 特別調剤基本料A・Bを算定している薬局の扱い | ありません |
| 分割調剤・リフィル処方箋の2回目以降 | ありません |
通則を見ても答えは出ません
留意事項通知の通則には、算定回数が「週」単位・「月」単位とされているものの数え方が定められています。日曜日から土曜日までの1週間、月の初日から末日までの1か月です。
ただし、ここにあるのは「週」と「月」の定義だけです。3か月をどこから数えるかまでは書かれていません。
確認するなら
- まず自局のレセコンがどう処理しているかを確認してください。そのうえで判断に迷う場面があれば、管轄の地方厚生(支)局に照会するのが確実です。
- 疑義解釈は後から追加で発出されます。この記事は令和8年9月2日時点の確認結果です。

調剤ベースアップ評価料との違い
区分40と区分41
どちらも同じ第5節に並んで新設されたため、混同されやすい2つです。違うところだけ挙げます。
| 項目 | 調剤物価対応料 | 調剤ベースアップ評価料 |
|---|---|---|
| 区分番号 | 区分41 | 区分40 |
| 点数 | 1点 | 4点 |
| 届出 | 不要 | 必要 |
| 施設基準 | 定めなし | あり |
調剤ベースアップ評価料は、施設基準の届出が必要な点数です。対象職員や報告の話は、そちらの記事で扱っています。

よくある勘違い5つ
各章の復習を兼ねています

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免責事項
- 本記事は情報提供を目的としたもので、個別の算定の可否を保証するものではありません。実際の運用にあたっては、必ず管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
- 本記事の内容は令和8年9月2日時点の告示・通知・疑義解釈に基づいています。制度は改正・訂正されることがあります。
参考・出典(すべて別タブで開きます)
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)、その留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添3、令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】、および疑義解釈資料その1〜その11にもとづいて執筆しました。原文は下記のページからすべて確認できます。
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)
※告示・留意事項通知・改定の概要・疑義解釈資料が、それぞれの項にまとまっています。
本記事に引用した告示・通知・事務連絡の原文は、厚生労働省ホームページ(令和8年9月2日に利用)によります。
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