小児の粉薬は「10kgなら何g」で覚えるとラクになる
小児の粉薬やシロップは、体重で量が変わるので計算が面倒ですよね。添付文書の「mg/kg」から毎回計算していたら、1枚の処方箋にけっこう時間がかかってしまいます。

※この記事の数字は処方監査の目安です。判断の基準は、常に最新の添付文書です。
覚える数字は、薬ごとに1つだけ
頓服以外の薬は、10kgの1日量を1つ覚えるだけ
毎日決まった回数で飲む薬
覚えるのは、体重10kgのときの1日量です。なんで10kgなの?と思いますよね。理由はかんたんで、計算がラクだからなんです。15kgなら1.5倍、12kgなら1.2倍です。
数字は、製剤量(処方箋と同じgやmL)で覚えておきます。そうすれば、処方箋を見た瞬間に比べられます。
覚えるのは上限の数字です。監査で見つけたいのは、多すぎる処方だからです。添付文書に上限が書かれていない薬は、通常量のうち多いほうの数字を覚えます。
例:ムコダインDS50%
12kgの子なら 0.6g × 1.2 = 0.72g

1回量で書かれている薬は、1日量に直して覚える
メイアクトのように、添付文書が「1回◯mg/kgを1日3回」と1回量で書かれている薬もあります。こういう薬も、飲む回数は決まっています。回数を掛けて1日量にしてから覚えましょう。定期薬の処方箋は1日量で書かれるので、突き合わせが1回で済みます。
次は、計算の落とし穴をチェック(タップで4章へ)シロップは、mL/kgで覚えると換算がいらない
濃度の計算をしなくて済みます
シロップは、製剤量(製品のmL)で覚えておけば、濃度の換算がいりません。
| シロップ | 1日量 | 10kgなら |
|---|---|---|
| ムコダインシロップ5%カルボシステイン | 0.6mL/kg | 6mL |
| 小児用ムコソルバンシロップ0.3%アンブロキソール | 0.3mL/kg | 3mL |
例:ムコダインシロップ5%(13kgの子)
10kgの量(6mL)で覚えているなら 6mL × 1.3 = 7.8mL。どちらで計算しても同じです
頓服と回数が選べる薬は、1回量で覚える
処方箋に1回量で書かれる薬
頓服は「熱が出たとき」のように、必要なときだけ飲む薬です。処方箋には1回量しか書かれないので、覚えるのも10kgのときの1回量です。考え方は1章と同じで、通常量のうち多いほう(上限)の数字を覚えます。
例:カロナール細粒20%
カロナールシロップ2%なら、10kgで1回7.5mL。18kgの子なら 7.5mL × 1.8 = 13.5mL
添付文書は「1回10〜15mg/kg」。10kgで1回150mg=細粒20%なら0.75g、シロップ2%なら7.5mLです。体の大きい子には体重と関係ない上限もあります(→5章)。
回数が選べる薬も、1回量で覚える
メプチンシロップは、6歳未満だと「1回0.25mL/kgを1日2回、または1日3回」です。回数が選べるので、1日量が1つに決まりません。こういう薬も1回量で覚えます。
例:メプチンシロップ5μg/mL(14kgの子)
処方箋の1日量を回数で割って、1回3.5mL以内かを見ます
同じ成分でも、濃さが違う薬がある
製品名と規格までセットで覚える
ここ、けっこうハマりやすいポイントです。同じ成分でも、濃さ(規格)が違う製品があります。濃さが違えば、同じ量の成分を出すのに必要なgやmLも変わります。
| 成分 | 濃さの組み合わせ | 量の差 |
|---|---|---|
| アモキシシリン細粒 | 10% 20% | 2倍 |
| カロナール細粒 | 20% 50% | 2.5倍 |
濃さが低いほうの製品では、同じ量の成分を出すのに、これだけ多くのgやmLが必要になります。
どちらも体重10kgの1回量(15mg/kg=150mg)。同じ「カロナール細粒」でも、規格が違うと2.5倍変わります。
20%の製品で覚えた数字を、50%の製品にそのまま当てはめる
製品名と規格までセットで覚える
例:「ムコダインDS50%は10kgで0.6g」

上限のある薬は、体重を掛けるだけでは足りない
途中で量が止まります
体重を掛けるだけの計算には、落とし穴が1つあります。上限です。
オノンDS10%は、1日最高10mg/kg。ただし大人の通常量450mg(DS4.5g)を超えないと決まっています。体重がいくら増えても1日4.5gでストップします。45kgの子も60kgの子も4.5gまでです。
オノンDS10%の1日量。10kgのときの上限は1日1.0gです。
カロナールにも、体重と関係ない上限がある
カロナールは1回10〜15mg/kgですが、小児科領域では1回500mgという上限も決まっています。
1回15mg/kgで計算すると、約33kgからこの上限が効いてきます。体の大きい子ほど、体重を掛けた数字をそのまま使えなくなります。
病気によって量が違う薬は、少ないほうで覚える
| ゼスラン小児用シロップ0.03% | 10kgの1日量 |
|---|---|
| 気管支喘息のとき | 8mL |
| 鼻炎・じんましんなど | 4mL |
覚えるのは少ないほう(4mL)です。多いほうで覚えた場合と比べてみましょう。
- 少ないほう(4mL)で覚えた場合:4mL以下なら、病名を考えずにそのまま出せます。4mLを超えたときだけ「喘息かな?」と考えれば済みます。
- 多いほう(8mL)で覚えた場合:8mL以下でも、5mLや6mLなら鼻炎・じんましんでは多すぎます。結局、毎回病名を確認することになり、そのまま通せる場面がなくなります。
引っかかる回数は増えますが、多すぎる量を見逃すよりずっといいですよね。引っかかるたびに確認しているうちに、病気と量が自然に結びついていきます。
ゼスラン小児用シロップ0.03%、体重10kgの場合の監査の流れ。
1章の「量に幅があるなら多いほうで覚える」とは逆ですが、目的は同じです。考えずに通せる処方を、できるだけ増やすためです。

体重が分からないときは、計算をひっくり返す
処方量から体重を逆算する
体重がすぐに分からないときは、計算をひっくり返してみましょう。ムコダインDS50%が1日0.9g出ていた場合です。
処方量から、体重を逆算する
その子が15kg以上なら、量はOKです

桁のミスは、ありえない体重になって出てくる
製品の量と成分の量を取り違えたり、規格を間違えたりすると、逆算した体重が「100kg」や「1kg」のような、ありえない数字になります。逆算した体重が実際の体重の何分の一しかない、というときも、桁が1つ落ちた入力ミスを疑うサインです。
年齢から、だいたいの体重を出す
体重がまったく分からなくても、処方箋には生年月日があります。1〜5歳なら「年齢×2+8kg」がだいたいの目安です(2歳なら12kg、4歳なら16kg)。桁のミスを見つけるための目安なので、個人差までは見ません。
原則は、薬を量る前に体重を聞く
逆算はあくまで補助です。疑義照会は、調剤の前に済ませる必要があります(薬剤師法第24条)。粉薬は分包した後だと作り直しになってしまいます。受付の時点で、体重と「いつ測った体重か」を聞いておくのが基本です。
上限を超えていたら、疑義照会の前に3つ確認
- 添付文書の上限と、病気ごとの量:多めの量が認められている病気ではないか
- 前回の処方量:前回も同じ量なら、医師が意図して出している可能性が高い
- 体重の出どころ:何か月も前に測った体重ではないか
3つを確認しても説明がつかなければ、疑義照会です。
年齢で量が決まる薬は、体重で計算しない
一覧表で確認するのが確実です
一部の薬は、体重ではなく年齢で量が決まっています。フェキソフェナジンDS、ザイザルシロップ、ジルテックDS、アレロック顆粒、モンテルカスト細粒などです。
添付文書では15歳未満を小児として扱うのが一般的です。
15歳以上になると、ほとんどの薬で大人と同じ量になります(12歳から大人と同じ量になる薬もあります)。それより下の年齢は、区切りが薬ごとに違うので、一覧表で確認してください。
小児の粉薬・シロップ 用量早見表準備中体重あたりに直すと、大人より多いことがある
小児は、体重あたりで見ると大人より薬を早く分解・排泄します。そのため年齢で決まる薬は、体重あたりに直すと大人より多くなっていることがあります。
| ザイザルシロップ0.05% | 1日量 | 体重あたり |
|---|---|---|
| 7歳(体重23kgの場合) | 10mL(5mg) | 約0.22mg/kg |
| 大人(体重60kgの場合) | 10mL(5mg) | 約0.08mg/kg |
7歳以上15歳未満は1回5mLを1日2回、大人は1回10mLを1日1回。
7歳の子の1日量は、大人と同じ10mLです。体重あたりにすると大人の約2.6倍ですが、これが添付文書どおりの量です。体重で割って「多すぎる」と判断しないようにしましょう。
添付文書に小児用量が記載されていない薬
この記事の方法が使えない薬
添付文書に、小児用量が書かれていない薬もあります。この記事の方法は、こうした薬には使えません。
たとえばポララミンは、シロップにもドライシロップにも大人の量しか書かれていません。こうした薬は別の記事にまとめました。
添付文書に小児用量が記載されていない薬まとめ準備中覚えることは5つだけ
- 1覚えるのは「10kgのときの量」。製品名と規格までセットで、上限の数字を覚える
- 2頓服以外は1日量、シロップはmL/kg、頓服と回数が選べる薬は1回量で覚える
- 3上限のある薬は、体重が増えても途中で量が止まる。病気で量が違う薬は少ないほうで覚える
- 4体重が分からないときは逆算。桁のミスが一発で分かる
- 5年齢で決まる薬は、体重で計算しない
この記事の数字の使い方
- この記事の数字は、処方監査で過量を見逃さないための目安です。
- 上限と疑義照会の基準は、常に最新の添付文書です。
- 添付文書に記載のない用量は、臨床で広く使われていても判断の基準にはなりません。
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免責事項
- 本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療に代わるものではありません。実際の用量の判断は、必ず最新の添付文書に基づいて行ってください。
- 掲載している用量は、各製品の添付文書に基づいています。添付文書は改訂されることがあります。
参考・出典
- 本記事の用量は、各製品の添付文書に基づいています(リンク先は別タブで開きます)。
- ムコダインDS50% 添付文書
- ムコダインシロップ5% 添付文書
- メプチンシロップ5μg/mL 添付文書
- カロナール細粒20%/細粒50% 添付文書
- カロナールシロップ2% 添付文書
- 小児用ムコソルバンシロップ0.3% 添付文書
- サワシリン細粒10% 添付文書
- ワイドシリン細粒20% 添付文書
- オノンドライシロップ10% 添付文書
- ゼスラン小児用シロップ0.03% 添付文書
- キプレス細粒4mg 添付文書
- ポララミンシロップ0.04% 添付文書
- ポララミンドライシロップ0.2% 添付文書
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品情報
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