2026年度の改定で、吸入薬指導加算は「喘息・COPDだけ」から吸入薬が出ている患者全体に広がりました。インフルエンザの吸入薬も対象になった一方で、回数は6か月に1回に変わっています。この記事では、算定要件・インフルエンザのときの決まり・報告書とお薬手帳の扱いにしぼって解説します。

吸入薬指導加算の算定要件は「指導+医療機関への報告」で6か月に1回
2026年度改定で変わったところ
吸入薬が処方された患者に、吸い方を教えて、その結果を医療機関に伝えたときの加算です。令和8年度(2026年度)の改定で、対象の病気の限定がなくなり、回数は6か月に1回になりました。
| 項目 | 令和8年度改定のあと |
|---|---|
| 対象の患者 | 吸入薬が出ている患者(改定前は喘息・COPDの患者だけ) |
| 回数 | 6か月に1回(改定前は3か月に1回) |
| 点数 | 30点(変わらず) |
| 届出 | 不要 |
| どの点数に付く加算か | 服薬管理指導料(区分10の3)の加算。かかりつけ薬剤師が行う場合も対象 |


根拠厚労省の原文で確かめる吸入薬指導加算(区分10の3)|調剤報酬点数表(告示) p.7・概要【調剤】 p.36
吸入薬の投薬が行われている患者に対して、当該患者若しくはその家族等又は保険医療機関の求めに応じて、当該患者又はその家族等の同意を得た上で、文書及び練習用吸入器等を用いて、必要な指導等を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書により提供した場合には、吸入薬指導加算として、6月に1回に限り30点を所定点数に加算する。

インフルエンザの吸入薬は、薬局でその場で吸ってもらう
喘息・COPDとは、やることが違う
インフルエンザの治療で吸入薬が出た患者の話です。喘息・COPDとは要件が違い、薬局で薬剤師が見ている前で吸ってもらうことが条件になっています。


根拠厚労省の原文で確かめる吸入薬指導加算(区分10の3)|実施上の留意事項 別添3 p.35
ア 喘息又は慢性閉塞性肺疾患に対して吸入薬を用いる患者の場合は、文書及び練習用吸入器等を用いて、吸入手技の指導を行い、患者が正しい手順で吸入薬が使用されているか否かなどの確認等を行うこと。また、インフルエンザウイルス感染症に対して吸入薬を用いる患者の場合は、保険薬剤師による看視の下、吸入させること。

報告書はお薬手帳でもOK。手帳シール・様式の決まりは?
医療機関への伝え方
医療機関への報告のしかたの話です。決まった報告書の様式はなく、文書のほか、お薬手帳で伝えてもよいことになっています。
| 気になること | 決まり |
|---|---|
| 何を伝える? | 吸入指導の内容と、患者の吸い方の理解度など |
| お薬手帳でもいい? | よい |
| 報告書の決まった様式は? | 示されていない |
| 手帳シールの書き方は? | 示されていない |


根拠厚労省の原文で確かめる吸入薬指導加算(区分10の3)|実施上の留意事項 別添3 p.35
(4) (1)の「吸入指導の結果等を文書により情報提供を行うこと」とは、吸入指導の内容や患者の吸入手技の理解度等について、保険医療機関に情報提供することであり、文書の他、手帳により情報提供することでも差し支えない。ただし、患者への吸入指導等を行った結果、患者の当該吸入薬の使用について疑義等がある場合には、処方医に対して必要な照会を行うこと。

医師の指示は必要?指導を始める2つのきっかけ
医療機関の求めか、医師の了解
吸入指導を始めるきっかけの話です。医療機関から頼まれた場合と、患者や家族から頼まれた場合の2通りがあり、後者は医師の了解が必要です。


根拠厚労省の原文で確かめる吸入薬指導加算(区分10の3)|実施上の留意事項 別添3 p.35
(2) 当該加算に係る指導は以下のア又はイの場合に、患者又はその家族等の同意を得て行うものであること。
ア 保険医療機関からの求めがあった場合
イ 患者又はその家族等の求めがあった場合等、吸入指導の必要性が認められる場合であって、医師の了解を得たとき

「6か月に1回」の数え方。次に算定できるのはいつ?
別の吸入薬が出たときの例外
一度算定した患者に、次に算定できる時期の話です。「6か月」をどこから数えるかは示されていないので、考えられる数え方ごとに日付を比べます。
| 例 | 算定できる? |
|---|---|
| 9月15日に喘息の吸入薬で算定。12月にインフルエンザで別の吸入薬が出て、その場で吸ってもらった | できる(別の吸入薬のため) |
| 9月15日に算定。12月に同じ吸入薬で、もう一度吸い方を確認した | できない(6か月以内) |


根拠厚労省の原文で確かめる吸入薬指導加算(区分10の3)|実施上の留意事項 別添3 p.35
(1) 吸入薬指導加算は、患者が吸入薬を適切に使用し、治療効果の向上や副作用の回避に繋がるよう、以下のア及びイを行った場合に6月に1回に限り算定する。ただし、当該患者に対し他の吸入薬が処方された場合であって、必要な吸入指導等を別に行ったときには、前回の吸入薬指導加算の算定から6月以内であっても算定できる。

服薬情報等提供料と同時算定できる?算定できない場面
ほかの点数との関係
ほかの点数との関係の話です。吸入薬指導加算のために医療機関へ報告したとき、その報告で服薬情報等提供料は取れません。
服薬情報等提供料との同時算定
吸入指導の報告は、吸入薬指導加算の中に含まれる扱いです。同じ報告で服薬情報等提供料を重ねて取ることはできません。服薬情報等提供料は、別の記事でまとめる予定です(準備中)。
在宅療養中の患者を担当している薬局へ
在宅患者訪問薬剤管理指導料などで訪問しているときの指導では取れません。在宅療養中で通院が難しい患者へのオンライン服薬指導(服薬管理指導料の4のロ・4のハ)も対象外です。
特別調剤基本料Aを算定している薬局へ
不動産の取引など特別な関係がある医療機関へ報告した場合は、算定できません。


根拠厚労省の原文で確かめる吸入薬指導加算(区分10の3)|調剤報酬点数表(告示) p.7〜8・留意事項 別添3 p.35〜36、p.67
(告示 注12の続き)この場合において、区分番号15の5に掲げる服薬情報等提供料は算定できない。また、4のロ又はハを算定する場合においては、当該加算は算定しない。
(5) 当該加算の算定時に行う保険医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。
(告示 注18)区分番号00に掲げる特別調剤基本料Aを算定する保険薬局において、区分番号00に掲げる調剤基本料の注6に規定する厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、注8、注12及び注14に規定する加算は、算定できない。

よくある間違い5つ
改定前の知識のままだと間違えやすいところ

最後に3行でおさらい
1吸入薬が出ている患者なら、6か月に1回30点
吸入指導と医療機関への報告がセット。届出は不要です。→ 第1章へ
インフルエンザは、薬局でその場で吸ってもらう
薬剤師が見ている前で吸うことが条件です。→ 第2章へ
報告はお薬手帳でもOK
報告書の様式は決まっていません。→ 第3章へ
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免責事項
- 本記事は情報提供を目的としたもので、個別の算定の可否を保証するものではありません。実際の運用にあたっては、必ず管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
- 本記事は告示・通知・疑義解釈にもとづいて書いていますが、制度は改正・訂正されることがあります。判断の基準は、常に最新の告示・通知です。
参考・出典(すべて別タブで開きます)
令和8年度診療報酬改定の告示(調剤報酬点数表)、実施上の留意事項通知(別添3)、訂正事務連絡、疑義解釈資料にもとづいて書いています。原文は下記のページからすべて確認できます。
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)
※告示は「調剤点数表」、留意事項は「実施上の留意事項 調剤点数表」、疑義解釈は「疑義解釈資料の送付について」の項にあります
本記事に引用した告示・通知・事務連絡の原文は、厚生労働省ホームページによります。
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